イラストでAIに負けないためには何が必要か。今後イラスト産業を仕事にしていくために。

イラストのコツ

 近年、画像生成AI(ジェネレーティブAI)の急速な進化により、イラスト制作の現場は大きく変化しています。

特に2022年頃からは誰でもテキストからイラストを一瞬で生成できるサービスが普及し、「このままではイラストレーターの仕事がなくなるのでは?」という不安の声が多くでてきました。実際、AIは簡単な指示を与えるだけで高品質なイラストを短時間で作成できるようになっており、これまでイラストレーターが多くの時間を割いていた工程をAIが行うケースが増えてきています。

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1. AIの台頭で変化するイラスト業界

実例

影響は実際の求人にも現れており、たとえば中国では生成AIの普及によってイラストレーターの求人が約7割減少し、一部のスタジオで人員削減が行われたという報道もあります。企業が低コストで大量のイラストを得る手段としてAIを活用し始めた結果、単純な作業や「とりあえずそれらしく見えればよい」という程度の仕事はAIに置き換わりつつあるのです。

日本も例外ではありません。詳細なデータは調査されていませんが、多くの求人が減少しています。

AIではできないこと

しかし対策がないわけではありません。AIによる自動化が進んでも、「AIではできないこと」を求める声も高まっています。

実際、クライアントがあえてAI不使用を契約条件にするケースも登場しており、人間のイラストレーターにしかできない繊細な表現やオリジナリティへの需要は依然として存在します。加えて、AI導入により制作プロセスが効率化すれば、イラストレーター自身はより創造的な作業に集中したり、新しいスキルを習得したりする余裕も生まれます。

つまり、AIは一部の仕事を奪う一方で、新たな可能性や役割を生み出しているのです。

このような時代の変化に対応するため、イラストレーター志望者はAIを避けるのではなく上手に付き合うことが大切です。技術の進歩によって一部の仕事がなくなるのは自然な流れですが、同時に新しいニーズや仕事の機会も生まれているはずです。AIを毛嫌いせず、「どんな風に自分の創作に活かせるか?」と前向きに考える姿勢で向かってみましょう!

2. AIに負けないイラストレーターの強みとは

 では、人間のイラストレーターにしかできないこととは何でしょうか?

  • 手書きのイラスト需要

 専門家は「むしろ今は手書きの時代”が来ている」と指摘しています。

生成AIが浸透したことで、AIの「できること」と「できないこと」が鮮明になったからです。AIの強みは大量の画像を複製したり既存の素材を組み合わせたりする作業ですが、その一方で以下のような創造力の発揮が求められる分野では限界があるといわれています。

  • 物語性・ストーリー性のある表現

 一枚のイラストに背景の物語や世界観を感じさせる表現は、汎用的な学習データからパターンを生成するAIには難しい部分です。

たとえば、キャラクターの背後にあるストーリーや、作品全体のテーマ性を読み手に想像させるような絵作りは、人間ならではの発想力がものを言います。

  • 繊細な感情表現・キャラクター性

 キャラクターの微妙な表情や雰囲気、感情の機微を描き分ける力はAIの弱点です。

既存画像の組み合わせでは生まれにくい魂のこもったキャラクターデザインや、生きているような表情の表現は、人間だからこそ可能な領域です。

  • 柔軟な要望対応・ニュアンス調整

 クライアントから「もう少し〇〇な感じに」「▲▲の部分を強調してほしい」といった細かなリクエストに応じて作品を調整する力も重要です。

制作の過程で生まれる新たなアイデアの反映や、その場のひらめきによる創造など、リアルタイムでの融通はAIにはまだ難しい部分です。

  • 独創的な構図やデザイン力

 AIは既存データの延長線上で「それらしい」構図やデザインを作れますが、本当にオリジナリティあふれるレイアウトやデザインは簡単ではありません。

見る人をハッと驚かせる斬新な構図や、指定された世界観にピタリとはまるデザイン設計は、経験を積んだクリエイターの腕の見せ所です。

  • 想像力・企画力

 何もないところからコンセプトを立て、「こんな世界やキャラクターを描こう」というゼロから1を生み出す発想力は、AIには真似できないクリエイターの真骨頂です。

クライアントもAIでは出せないコンセプトや驚きを形にする力をイラストレーターに期待しており、それこそがプロに求められる仕事だと言われます。

他にも…

 紹介したもの以外にも、独自の世界観を構築する力深いテーマ性の表現など、人間の感性がもたらす創造性は数多くあります。AI時代だからこそ、こうした「人間らしさ」の価値が際立ってきています。AIには真似できない唯一無二の作品を生み出せるからです。

要は、AIが得意とするスピードや量産の部分で競う必要はありません。むしろAIが苦手な領域で力を発揮し、「なぜ自分に依頼する価値があるのか」をはっきり示すことが大切です。あなたが描くイラストにはどんな魅力や物語が宿っているのか、AIの出力画像より優れている点は何か――それを自分自身で理解し、発信していくことが差別化につながります。

3. 初心者が今から身につけるべきスキル・経験

 AI時代に活躍するためには、基礎的な描画スキル新しい技術への対応力の両方を磨いていく必要があります。これからイラストを仕事にしたい初心者の方は、次のようなスキルや経験を意識して積んでいきましょう。

  • 描画力・デッサン力など基礎の徹底

 AIの進化に関わらず、人体構造やパース、色彩理論といったアナログ・デジタル共通の基礎力は欠かせません。

基礎がしっかりしていれば、AIで生成した画像の不自然な部分を見抜いて修正したり、AIでは表現しきれない繊細なタッチを加えたりすることもできます。「手描きの時代」が来ている今、地道に絵を描く力を伸ばすことは将来的に必ずプラスになります。

  • 発想力・コンセプトメイキングの訓練

 普段からオリジナルのアイデアを考え出すクセをつけましょう。

たとえば「ゲームの新キャラクターを自分で考えて描いてみる」「一枚のイラストで物語を表現してみる」といった練習です。コンセプトを立てる力や想像力は、先述のとおりAI時代に最も求められる人間の強みであり、これらは一朝一夕には身につかないため今のうちから経験を積むことが重要です。

  • 画像生成AIなど新ツールの活用スキル

 AI時代においては、「AIを使いこなすスキル」自体も大事な武器です。

具体的には、プロンプトエンジニアリング(AIに思い通りの絵を描かせる指示の工夫)や、AIが出力した画像を用途に耐えるよう加工・修正するスキル、場合によってはAIに学習させる独自データセットの作成などが挙げられます。これらを習得すれば、「AI + 人間」のハイブリッドな制作が可能となり、AI時代でも活躍できるイラストレーターになれるでしょう。

実際、AIを使っても誰もが一発で素晴らしい画像を作れるわけではなく、適切な指示や加工のノウハウが必要なので、そこに新しい仕事のチャンスも生まれています。

  • コミュニケーション力・対応力

 クライアントの要望を正確に読み取り、自分のスタイルとすり合わせていく力も磨きましょう。

イラストの仕事は自分一人の創作とは違い、発注者との共同作業です。打ち合わせを通じて意図を汲み取り、ラフ提案や修正を経て理想の一枚に仕上げるプロセスには、人間同士の円滑なコミュニケーションが不可欠です。AIには真似できない人間らしい気配りや対応力こそ、プロとして信頼を得るポイントになります。

  • 継続的な創作と発表の習慣

 初心者のうちは「まだ下手だから…」と発表をためらうかもしれませんが、実は作品を外に出し続けることが上達への近道です。

下手でも描き続けて公開するうちに上達は早まりますし、自分の成長過程を見せることはフォロワーにとっても一緒に成長を楽しめるエンターテインメントになります。日々の練習絵でも構いませんので、人の目に触れる形でアウトプットする経験を積みましょう。その過程で批評や反応から学ぶことも多く、メンタル面でもだんだんと鍛えられていきます。

総じて、「アートの土台」と「テクノロジーへの適応」という一見相反する2つを両立して磨いていくことが、これからのイラストレーターに求められます。幸い、AI時代だからこそ手描きスキルの価値が見直されたり、逆にAIのおかげで学びやすい環境(豊富な参考資料や時短テクニックの共有)も整ったりしています。初心者のうちから多角的に学び、経験を積んでおけば、将来AIともうまく共存しながら第一線で活躍できるでしょう。

4. SNS時代でファンを増やす発信力

 SNS全盛の今、イラストレーターにとって発信力は欠かせないスキルです。作品を発表する場としてTwitter(現X)やInstagram、Pixivなどを活用することで、多くの人に自分の絵を届けることができます。事実、**「SNSを活用しないクリエイターに仕事は無い!?」**といった声が上がるほど、業界ではSNS発信の重要性が説かれています。人気イラストレーターのRellaさんも「フォロワーが10万人いれば単価が上がり、数十万人を超えると同世代の会社員より高年収になる」と明かしており、大勢のファンを抱えることで得られる仕事機会や収入の増加は無視できません。

では、初心者がSNS時代に強いイラストレーターになるには具体的にどうすればよいのでしょうか?ポイントを整理してみます。

  • 積極的かつ継続的な発信

 まず心がけたいのはコンスタントな投稿です。

理想を言えば毎日投稿、難しくとも数日に一度は作品や進捗をアップしましょう。長期間更新がないアカウントは埋もれてしまいがちです。X(旧Twitter)はユーザー数が非常に多く拡散されやすい仕組みが整っているため、まず活用すべきSNSと言えます。投稿のタイミングやハッシュタグの使い方、トレンドの研究など、SNSごとのコツもありますが、何より**「存在感を切らさない」**ことが大切です。

  • 魅力的なコンテンツ作り

 闇雲に投稿するのではなく、フォロワーが楽しめる内容を意識しましょう。

基本は自分の描いたイラスト作品ですが、それに加えて「絵描きあるある」など共感を呼ぶネタや、ちょっとしたお役立ち情報を織り交ぜるのも効果的です。見る人にとってプラスになる情報やクスッと笑える内容は拡散されやすく、新規フォロワー獲得にもつながります。また、自分だけのシリーズ企画(オリジナル4コマ漫画の定期投稿など)を展開すれば、それ自体があなたのオリジナルコンテンツとなり、熱心なファン作りに役立ちます。自分独自の表現方法を開発し、それを発信していくことで「あなただから見たい」というファン層が育っていきます。

  • ポジティブなコミュニケーション

 SNSではポジティブな発信を心がけましょう。

日常のつぶやきで親しみを出すのは良いですが、「疲れた…もう嫌だ」などネガティブな言葉ばかりだと人は離れていってしまいます。特に他者への悪口や愚痴、不満の連投は厳禁です。その代わり、コメント欄で応援してくれるファンには感謝を伝える、質問には丁寧に答えるなど、前向きで開かれた姿勢を示すと良いでしょう。フォロワーとの交流を大切にし、感じの良い人柄が伝われば、「この人を応援したい」というファンも増えていきます。

  • 成長過程も発信する

 上達するまで作品を見せないのではなく、上達していく過程そのものをコンテンツにする発想も大事です。

最初は拙い絵でも、続けるうちに上手くなっていく様子を時系列で見せれば、フォロワーはあなたの物語に引き込まれます。「以前に比べて背景が上手くなったね!」などと声を掛けてもらえるとモチベーションも上がりますし、自分では気づかない成長点に気づけることもあります。弱い主人公が少しずつ成長する物語を見るような感覚でファンが応援してくれることもあるでしょう。

  • 誹謗中傷への耐性

 SNS発信を続けていると、時には心ないコメントや批判に出会うかもしれません。

しかし、そういった誹謗中傷は完全に無視するのが一番です。悪意ある声に振り回されて創作をやめてしまっては本末転倒です。簡単ではありませんが、「批判してくる人がいるうちは自分は前に進んでいる証拠だ」くらいに捉えて、図太く受け流すメンタルを持ちましょう。あなたの作品を待っているファンのためにも、ネガティブな声よりポジティブな目標に目を向けて進み続けてください。

このように、SNS時代で活躍するには作品力+情報発信力+人間力が総合的に問われます。幸い、今はSNS上に**「どう投稿すればバズるのか」というノウハウが大量に共有されており、研究・実践しやすい環境が整っています。最初は手探りでも構いません。継続して発信する中で、自分に合ったスタイルやファンとの距離感が掴めてくるでしょう。SNSを上手に活用しファンを味方につけること**が、これからの時代に強いイラストレーターへの近道です。

5. 最後に:未来へのポジティブなエール

 AIの進化によって確かにイラスト業界は大きく変わりつつあります。しかし、だからといって**「人間の絵描きが消えてしまう」ような悲観論に飲み込まれる必要はありません。むしろ、多くの専門家やクリエイターは「これからはAIと手描きの良さを上手く使い分ける時代**になる」と前向きに見ています。AIが素晴らしいからといって、絵を描く人間がいなくなることは決してないでしょう。技術が進めば進むほど、人が心を込めて生み出す作品の価値は逆に高まるとすら言われています。

大切なのは、時代の変化を恐れるのではなく自分の成長のチャンスに変えることです。AIは使い方次第であなたの創造力を拡張してくれる強力なパートナーになります。そしてAIには作れない「あなただけの物語」や「唯一無二の表現」は、世界中の人々に感動を与える力を持っています。

これから先、イラストレーターを取り巻く環境がどう変わっても、あなたが描くことを楽しみ、創意工夫を凝らし続ける限り道はきっと開けます。SNSで繋がったファンたち、共に切磋琢磨する仲間、そして新しいテクノロジーとの出会い――それらすべてがあなたの武器です。どうかポジティブな気持ちを忘れずに、「自分にしか描けない一枚」を追求し続けてください。AI時代だからこそ生まれる新たな活躍の場で、あなたらしい創作の花を大きく咲かせられるよう、心から応援しています!


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